2012年11月21日

Inter BEE 2012 私的メモいくつか

各ブース

もう5日も経ってしまいますが、Inter BEE 2012 最終日に行ってきました。朝10時半頃に到着し、閉幕の17時まで各ブースを回りました。各ブースで気になったものについて、ごくごく私的なメモとして書きます。

ソニーさん

XDCAM Station AVCコーデックオプション

従来XDCAMはMPEG-2 Long GOPを採用していましたが、XDCAM Stationの新製品「XDS-PD2000」に「AVCコーデックオプション XDBK-106」を導入することにより、パナソニックさんのH.264/MPEG-4 コーデックである「AVC-Intra 100/50」での記録が可能になります。ただ、AVC-Intraという名称は使えないのか、デモ機での表示上はAVC-I 100は「422 I」、AVC-I 50は「420 I」となっていました。

コーデックの選択肢が増えるのは面白いことだとは思います。ただ、XDCAMの仕様上、MXF構造のClipフォルダ内にもともと想定されていたコーデック以外のデータを入れることができないため、対応として「UserData」という要は“何でも入れられます”フォルダにAVC-I コーデックのデータは入るようにしているそうです。XDCAM Station上で取り扱う場合には、通常のMPEG-2 データはClipフォルダ、AVC-I データはUserDataフォルダと、階層を行き来する必要があります。そもそも他社製コーデックですし、かなり無理矢理感が漂っています。これには計り知れない“事情”があるようですが、そこにはあまり触れられません(笑)。

また、今後のXDCAMはどこかでやはりFull HD以上、2Kや4Kに対応せざるを得ない時が来ます。先日発表された新型CineAlta PMW-F5/F55と同時に収録用の新コーデック「XAVC」も発表され、このコーデックなのかさらに別の新コーデックなのかは分かりませんが、Full HD以上を扱うため、XDCAMがMPEG-2から脱する時が来ることが予想されます。今回のAVCコーデックオプションと2K/4Kは直接関係ありませんが、他コーデックを良くも悪くも受け容れたことにより、XDCAMが先へ進んでいく上での大きな分岐点になったのではないかと感じました。考えが飛躍し過ぎかも知れませんが。

パナソニックさん

AVC-Ultra 各用途

AVC-Ultra ファミリー

昨年のInter BEE前に発表されたAVC-Ultra。発表時にはマスタリング品質からオフライン用まで、用途別に幅広い種類を用意しているという紹介のみでしたが、今年は「ビットレートは検討中」としながらも、かなり具体的な情報が公開されていました。4Kにまで対応する「class 4:4:4」から、800kbps〜3.5Mbpsという低ビットレートの「Proxy」まで、棲み分けがなされています。

Apple ProRes 422やDNxHDといったコーデックと同じく、高画質から低画質までカバーしていますが、この2つのコーデックはノンリニア編集アプリケーションにくっついており、そうではないAVC-Ultraがいかに普及していくか、今後の展開が楽しみです。制作ワークフローの提案のひとつとして、AVC-ProxyをAvid Media Composerで用いた、オフライン用プラグインの紹介もされていました。

さくら映機さん

Prunus Zero

Prunus Zero

今回のInter BEEでなぜか最も驚いたのがさくら映機さんのブースで、まず目についたのは見たことのないインターフェイスのPrunusでした。現行の最新バージョンであるNCシリーズとも明らかに違い、見ると「Prunus Zero」の文字。昨年の展示で「高機能 Prunus」という仮の名称で出展されていたものの正式版のようです。これまでのPrunusが主にオフライン用途向けだったのに対し、クロマキー合成や3Dといったオンライン用途も意識、NCシリーズとは別物です。NCシリーズで可能であったAVC-IやXDCAM、GFCAMでのキャプチャーコーデックにAVCHDが加わったりもしています。

デモを見せていただきましたが、クロマキー合成はレンダリング不要ですぐにプレビュー可能で、ざっくりと指定して抜き、細かい数値の設定も可能だそうです。プロセッサはXeon 8-core × 2で16-core、かなりのハイスペックマシンです。実際に触っていないので細かくは判りませんが、見た目から使い勝手も変わっているようで、ニッチなノンリニア編集システムですが徐々に進化していっています。

Prunus Zeroは2013年3月か4月ぐらいに発売予定。さらにいただいた製品比較表には「NCexp 2」という表記もあり、これはNCシリーズの新バージョンなのか、よく判りませんでした。以前のPrunusがバージョン2でNCシリーズになってからバージョン3となったはずで、2なのか3なのかちょっとややこしいです(笑)。

Blackmagic Designさん

Blackmagic Cinema Camera

気になっていたBlackmagic Cinema Cameraのデモ機が3台置いてあり、触ることができました。基本的にメニューがタッチ操作で使いづらいかと思いきや、メニューが限られているため、そうでもないようにも感じました。形としては無駄が無く魅力的です。ちょっと欲しくなりました。

HyperDeckはInter BEE前にApple ProRes 422(HQ)への対応が発表され、非圧縮、DNxHDに加えて記録コーデックが3つから選択可能になりました。ライセンス料が高いと言われるProResをあえて避け、オープンなコーデックを扱うことによって価格を抑えていると訊いていましたが、AJA KiProやAtmos Ninjaといった競合製品に対抗する為に追加したのでしょうか。Final Cut Proユーザーには歓迎されそうです。

HyperDeck Shuttleと共に置かれていたMacBook Proには、Seagate GoFlex Thunderbolt Adapterが接続されていました。

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